犬祭り
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 犬マスクは、犬の穴出身の傭兵である。
 突然だが、昔、両親に犬と間違われて地球に捨てられた、どこぞの星の王子だと発覚した。
「で、黒っぽい亀師匠に、48手を仕込まれるんだね、みっちり」
 リュウは言った。
「主人公が、下品な発言をしてはダメだって、マスター言ってます」
「タイトルは犬マスクなのに、やっぱり主人公はリュウなんですね」
 ニーナは、感慨深げにうなずいた。
「タイトルロールなのに、主人公じゃないサイアスさんの立場って…」
「気にするなニーナ。本人が一番気にしていない」
「アースラさん…。確か前回、犬マスクにお持ち帰りされたんじゃ…」
「その事も忘れろ」
 犬マスクは、のんびりとくつろいで、最近ファーストフードチェーンから、次々と消えつつある、某大型草食獣のやすにくから作ったどんぶりものを食っている。
「あれ食い終わったら、へのつっぱりとか言うのかな」
「言わんだろう」
「そう言えば聞いた事がある!」
 突然、額に『米』と書いたクレイが、乱入した。
「この後犬マスクは、五人のパチモン王子と、王位継承権をかけて、死闘を繰り広げるはずだ」
「その通りだ、ふははははは」
 突然笑い声が響いた。
「俺の名は、犬マスク・スーパーフェニックス」
「ゼブラ」
「ソルジャー」
「ビッグボディ」
「マリポーサ」
「五人揃って、犬レンジャー!!」
「げっ、サイアスが、柄違いで5匹も」
 異常な光景に、皆が引いた。
「さぁ、犬マスクよ、王位継承権をかけて、我々と戦うのだ」
「王位…」
 犬マスクは、顔を上げた。
「…めんどくさい」
 サイアス的には、もっともな意見だった。
「帰って、寝る」
 帰ってしまった。どこへ帰ったのかは知らないが。
「まぁ、そうだよな」
 リュウは、納得した様子でうなずいた。
「深夜のニュース番組とかで、サイアス(石塚運昇)がナレーションで、べらべらしゃべってると、未だに違和感あるもん。五人、しゃべり過ぎ」
「俺は、あたしんちのママがアースラだという事の方が…」
 クレイは何か言いかけたが、キツネ目の女にとてつもなく恐ろしい眼力でにらまれたので、話題を変えた。
「そう言えば、聞いた事がある」
「クレイの役所って、最近のジャンプ系アニメだと、ヘッポコ丸だよね」
「黙って聞け」
 怒られた。
「ドラクォのナレーションで、あいつ、外国語をべらべらしゃべっていたらしい」
 へぇ〜!へぇ〜!へぇ〜!へぇ〜!へぇ〜!…以下略…(70へぇ)
 しかし、サイアスが帰ってしまった今、犬レンジャー(仮名)の立場は、全然なかった。
「くそう、今回は引いてやるが、憶えてろ」
 完全に悪役の捨てぜりふだった。しかも、全員声は石塚運昇だ。
「たぶん…」
 リュウは、主人公の風格で締めた。
「サイアスは憶えてない、めんどくさいからな」
 それ以来、犬レンジャー(いつの間にかそんな名前になった)の姿を、見た者は居ない。

次回こそ「犬マスク二世」ソースの二度付けは禁止、に続く。(予定)

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